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防衛費増税に見る今後の税制トレンド

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2023年、政府は防衛費を5年間で1.6倍にする方針を決め、その一部を増税で賄うことを明らかにしました。

 

防衛費は2027年度に年間約9兆円に達し、国民一人当たりの負担は年間約7.5万円になります。
この増額は、ロシアのウクライナ侵攻や中国、北朝鮮の動向を背景にした安全保障強化が目的です。
今回の税制改正では、増税は法人税、たばこ税が対象です。

 

法人税では、2026年4月以降、新たに500万円を超える法人税額に対して税率4%が課されます。
年間利益5000万円の会社では23万円です。
トヨタのように年間利益3兆円なら280億円となります。
与党にとって増税はタブーに近いのですが、この防衛特別税は経済界の了解が取れたようです。

 

所得税の増税は、今回は先送りされていますが、今後、税率1%の新たな防衛財源としての税が課される一方、復興特別所得税の税率が1%引き下げられ、課税期間が延長される案が検討されています。

 

当初、所得税増税や国債発行は否定されていましたが、建設国債を防衛費の一部財源として初めて活用することになりました。
法人税増税は賃金抑制や製品価格の上昇を招き、国民経済に悪影響を及ぼす懸念があります。
今まさにロシアがそうなりつつあります。

 

防衛特別税の創設、それに財政再建のための消費税増税の検討など、今後は増税トレンドとなりそうです。
それを織り込んだ上での経営とタックスプランニングをお考え下さい。

 

 

<この記事は、「経済リポート 2025年2/1号」に掲載されたものです>

 

 

 

この記事を書いた人

菅 雅史
菅 雅史

税理士

「相談しやすい税理士」として、お客様からもスタッフからも日々様々なご質問を受けている。
決算業務のチェックにおいては細かいところまでしっかり確認を怠らない。

好きなことは、スポーツ観戦・将棋・人と話すこと